
君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪は降りつつ
Reading
Kimi ga tame Haru no no ni ide te Wakana tsumu
Wa ga koromode ni Yuki wa furi tsutsu
和歌の意味
貴女のために春の野に出て行って、緑の若菜を摘んでいる。その私の衣の袖に、雪がちらちらと降りかかってくる。
Meaning
For you, my dear, I went out to the field and picked green herbs, then it snowed and snowed on my sleeves.
鑑賞
若菜とは春の七草のこと。まだ雪の残る早春に土の中から緑の若菜が生えてくる。元気な命の証です。それを摘んで食べると邪気を払い、長生きをすると考えられていた。今も一月七日に七草粥を食べ、長寿を願うという風習が受け継がれていますね。雪の白さと若菜の緑が鮮やかな色彩を見せています。
天皇自ら庭に出て若菜を摘まれているのではないでしょうね。お付きの人が摘んでいるのを見て、自分が摘んだ気持ちになって詠まれたのでしょう。大切な人の幸せを祈って詠まれた歌で、光孝天皇の優しい気持ちが伝わりますね。
この歌が好きだからと娘さんに若菜と名付けた方がいますよ。