百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.015

光孝天皇

Koko Tenno

光孝天皇

君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪は降りつつ

Reading

Kimi ga tame Haru no no ni ide te Wakana tsumu
Wa ga koromode ni Yuki wa furi tsutsu

和歌の意味

貴女のために春の野に出て行って、緑の若菜を摘んでいる。その私の衣の袖に、雪がちらちらと降りかかってくる。

Meaning

For you, my dear, I went out to the field and picked green herbs, then it snowed and snowed on my sleeves.

鑑賞

若菜とは春の七草のこと。まだ雪の残る早春に土の中から緑の若菜が生えてくる。元気な命の証です。それを摘んで食べると邪気を払い、長生きをすると考えられていた。今も一月七日に七草粥を食べ、長寿を願うという風習が受け継がれていますね。雪の白さと若菜の緑が鮮やかな色彩を見せています。
天皇自ら庭に出て若菜を摘まれているのではないでしょうね。お付きの人が摘んでいるのを見て、自分が摘んだ気持ちになって詠まれたのでしょう。大切な人の幸せを祈って詠まれた歌で、光孝天皇の優しい気持ちが伝わりますね。
この歌が好きだからと娘さんに若菜と名付けた方がいますよ。