百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.016

中納言行平

Chunagon Yukihira

中納言行平

たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む

Reading

Tachiwakare Inaba no yama no Mine ni ouru
Matsu to shi kika ba Ima kaeri ko mu

和歌の意味

いよいよ赴任地の因幡国(いなばのくに)へ往きます。その国の稲羽山の松ではないが、あなたが私を待っていると聞いたならば、すぐにも帰ってきますよ。

Meaning

I'll leave you now but I'll come back immediately when I hear you are waiting for me like the name of pines growing on the top of Mt. Inaba.

鑑賞

在原行平のこと。在原業平の異母兄。
この歌は行平が因幡国に地方官として任じられた時、送別会の場で詠んだ歌である。因幡(いなば)と往(い)なばが掛詞、松と待つが掛詞。
因幡国とは今の鳥取県のこと。京都から鳥取県まで歩いて行きました。在原行平は何かの事件に巻き込まれ、自ら地方に蟄居していた事がありました。源氏物語の『須磨』では光源氏が須磨に逃れるが、行平の事がヒントになっていると言われている。