
たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む
Reading
Tachiwakare Inaba no yama no Mine ni ouru
Matsu to shi kika ba Ima kaeri ko mu
和歌の意味
いよいよ赴任地の因幡国(いなばのくに)へ往きます。その国の稲羽山の松ではないが、あなたが私を待っていると聞いたならば、すぐにも帰ってきますよ。
Meaning
I'll leave you now but I'll come back immediately when I hear you are waiting for me like the name of pines growing on the top of Mt. Inaba.
鑑賞
在原行平のこと。在原業平の異母兄。
この歌は行平が因幡国に地方官として任じられた時、送別会の場で詠んだ歌である。因幡(いなば)と往(い)なばが掛詞、松と待つが掛詞。
因幡国とは今の鳥取県のこと。京都から鳥取県まで歩いて行きました。在原行平は何かの事件に巻き込まれ、自ら地方に蟄居していた事がありました。源氏物語の『須磨』では光源氏が須磨に逃れるが、行平の事がヒントになっていると言われている。