
今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな
Reading
Ima komu to Ii shi bakari ni Nagatsuki no
Ariakenotsuki wo Machiide tsuru kana
和歌の意味
男が「今行く」と言ってきたので、秋の夜長を今か今かと待っていたのに、とうとう明け方になり、有明の月が出てきてしまった。むなしいことよ。
Meaning
I have seen the morning moon after I waited long at night in September, simply because you said you would come and see me soon.
鑑賞
男の人が女の立場になって詠んだ歌。
僧侶の歌として興味がある。これは和歌の一つのお遊びで、虚構の世界を楽しむというもの。
ひたすら待っていた人が来ない、待ちくたびれた女性の淋しさを代弁している。
長月は陰暦の9月、晩秋で、夜は長い。
昔は通い婚であったので、男は夜、女の家に行き、有明の月が出る頃は男が帰っていく時間帯なのだ。その後男は、後朝の歌(きぬぎぬのうた)を送る。