
このたびは 幣もとりあへず 手向け山
紅葉の錦 神のまにまに
Reading
Kono tabi wa Nusa mo toriae zu Tamukeyama
Momiji no nishiki Kami no manimani
和歌の意味
この度の旅は 幣(ぬさ)の用意もできませんでした。そのかわりに手向け山(たむけやま)の神様、この山の美しい紅葉を一枝神前に捧げますので、どうぞお受け取り下さい。
Meaning
This trip, the scene of maple leaves is so beautiful that I can't offer nusa(=offerings to God). Please receive the splendor of colored maple leaves on Mt. Tamuke as God likes.
鑑賞
幣(ぬさ)とは、木綿や錦などの切れ端で作られた神への捧げもの、今は神主さんがお祓いの時に手に持っている白い紙の束。
手向け山は、固有名詞ではなく、神様に手向ける(お供えをする)山、峠などで幣をまき、旅の安全を祈った。
菅家とは菅原道真のこと。天神さまと言って、昔から学問の神様として親しまれ、尊敬されている。
先祖代々学者の家に生まれ、最高位の文章博士(もんじょうはかせ)となり,当代随一の漢詩人としても有名だった。
後に道真を陥れようともくろむ藤原時平の一族に謀られて、大宰府へ左遷された。そこで書いた「九月十日」の詩は有名である。