
有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし
Reading
Ariake no Tsurenaku mie shi Wakare yori
Akatsuki bakari Uki mono wa nashi
和歌の意味
空には有明の月が、そっけなく見えている。有明の月と共に帰らなくてはならないとは無情なこと。暁ほど切なく、つらいものはないことよ。
Meaning
Since you said good-bye to me with a cold air like the morning moon, nothing has been bitter for me to see than daybreak.
鑑賞
有明の月は夜明けの月である。有明の月が出たら、男は帰らなくてはならない事が決まりになっていた。
「つれなく見えし」は、月のことか相手のことか、月も別れも無情だという切ない思いが深まる。
壬生忠岑は41番の壬生忠見の父である。当時の有名な歌人。
「古今集」の撰者の一人である。三十六歌仙の一人でもある。