百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.035

紀貫之

Ki no Tsurayuki

紀貫之

人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける

Reading

Hito wa isa Kokoro mo shira zu Furusato wa
Hana zo mukashi no Ka ni nioi keru

和歌の意味

人の気持ちは、(あなたの気持ち)はどうなのかわかりませんが、この故郷は、梅の花が昔と変わらず同じ匂いで咲いています。良い匂いですねえ。

Meaning

Dear proprietor, I don't know whether you've changed your mind, but only the plum blossoms are in glorious bloom as ever in my hometown.

鑑賞

『古今集』に詞書がある。内容は、「ずっと長谷寺参詣の度に、泊まっていた宿に、久しぶりに訪れた所、その宿の主は長い無沙汰を恨むような事を言ったものだから、そこに咲いていた梅の花を折って、この和歌で応じた」とある。
「人の心は移ろいやすいが、故郷の自然は変わることはなく、春になると梅の木には花が咲き、相変わらず良い匂いをさせて、私を迎えてくれるよ。」と応じた。「花の香り」は梅の花のことである。
紀貫之は、平安時代の貴族・歌人。
醍醐天皇の命により、905年「古今和歌集」を紀友則・壬生忠岑・凡河内躬恒と共に編纂した。序文を執筆している。当時の最高の和歌の指導者であった。三十六歌仙の一人である。
「土佐日記」の作者でもある。