
人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける
Reading
Hito wa isa Kokoro mo shira zu Furusato wa
Hana zo mukashi no Ka ni nioi keru
和歌の意味
人の気持ちは、(あなたの気持ち)はどうなのかわかりませんが、この故郷は、梅の花が昔と変わらず同じ匂いで咲いています。良い匂いですねえ。
Meaning
Dear proprietor, I don't know whether you've changed your mind, but only the plum blossoms are in glorious bloom as ever in my hometown.
鑑賞
『古今集』に詞書がある。内容は、「ずっと長谷寺参詣の度に、泊まっていた宿に、久しぶりに訪れた所、その宿の主は長い無沙汰を恨むような事を言ったものだから、そこに咲いていた梅の花を折って、この和歌で応じた」とある。
「人の心は移ろいやすいが、故郷の自然は変わることはなく、春になると梅の木には花が咲き、相変わらず良い匂いをさせて、私を迎えてくれるよ。」と応じた。「花の香り」は梅の花のことである。
紀貫之は、平安時代の貴族・歌人。
醍醐天皇の命により、905年「古今和歌集」を紀友則・壬生忠岑・凡河内躬恒と共に編纂した。序文を執筆している。当時の最高の和歌の指導者であった。三十六歌仙の一人である。
「土佐日記」の作者でもある。