
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし
人の命の 惜しくもあるかな
Reading
Wasura ruru Mi wo ba omowa zu Chikai te shi
Hito no inochi no Oshiku mo aru kana
和歌の意味
あなたに忘れられた私自身のことは、もう良いのですが、永遠の愛を神に誓ったあの人が、神罰を受けて命を失うのではないかと思うと、それも惜しいことと思われます。
Meaning
I never think it is bitter for me that you are forgetting me, or rather, I'm sorry you must die incurred the punishment of heaven because you have broken the promise you swore by God.
鑑賞
忘らるる の るるは受け身の助動詞、惜しは深い愛着を持っているので、失うのが惜しい。
相手への抑えがたい執着が表われている。
右近は、右近少将藤原季縄(すえなわ)の娘。父親が右近の少将だったので右近と呼ばれた。醍醐天皇の皇后穏子に仕え、女性歌人として活躍した。恋多き女性だったと言われている。
この和歌の「人」とは藤原淳忠だった。43番の作者である。この恋のことが「大和物語」に載っているという事だ。淳忠自身多くの恋の歌を残している。