
忍ぶれど 色に出にけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで
Reading
Shinobure do Iro ni ide ni keri Wa ga koi wa
Mono ya omou to Hito no tou made
和歌の意味
あの人を恋する気持ちをじっと胸の奥に隠してきたが、顔の表情や雰囲気に出てしまっているのか、「恋の物思いをしているではないか」と人に尋ねられる程になってしまっているよ。
Meaning
I have been concealing my love but my face has betrayed it so much that people ask me now whether I'm in love.
鑑賞
忍ぶ恋の歌である。自分では隠し通しているつもりなのに、周りの人には、敏感に知られてしまっている。初々しい恋の歌。
人の問ふまでは、色に出にけりに係る・・・倒置法である。
平兼盛は光孝天皇の子孫であったが、臣籍に下って平姓を名乗った。十世紀後半の代表的歌人。三十六歌仙の一人である。
この歌は「天暦御時の歌合」の時に詠まれた歌だが、この歌合わせで事件が起こった。当時一流の歌人が、東西に分かれて、和歌を披露し、判者が優劣を決めるのだった。当時の貴族たちは和歌の優劣が出世につながったので、必死の思いで和歌作りに励んだ。平兼盛の歌の平兼盛の「忍ぶれど・・・」の歌の対戦相手は、41番の壬生忠見の「恋すてふ・・・」の歌だった。
続きは41番の解説で。