
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひそめしか
Reading
Koisu cho Wa ga na wa madaki Tachi ni keri
Hito shire zu koso Omoisome shi ka
和歌の意味
私が恋をしているという噂がもう世間に立ってしまった。誰にも知られないように、ひそかに思い始めたばかりなのに。
Meaning
There is already a grapevine that I'm in love, I have just begun to be in love with her in secret, though.
鑑賞
人知れず思い染めしが・・・わが名は、・・・たちにけりは倒置法。恋は始まったばかりなのに、実らぬ予感がある。
<40番の鑑賞の続き>
兼盛の歌は右、忠見の歌は左に配せられた。双方の歌が披講された。どちらも甲乙つけがたい傑作である。
判者たちは困ってしまった。天皇も判断がつきかねた。しかし天皇がふと「しのぶれど…」と口ずさまれた。これを聞いた判者が「右が勝ち!」と宣言した。
負けたと知った忠見は大きなショックを受けて、その後重い病気になり、亡くなってしまったという話が残っている。
当時の歌人達は、和歌を作る事に命を懸けたのですね。だからこそ、多くの和歌の傑作が生みだされ、今日まで残っているのです。日本文化の素晴らしい宝物です。