百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.045

謙徳公

Kentokuko

謙徳公

あはれとも いふべき人は 思ほえで
身のいたづらに なりぬべきかな

Reading

Aware to mo Iu beki hito wa Omooe de
Mi no itazurani Nari nu beki kana

和歌の意味

私のことを哀れだと言ってくれそうな人は、思い浮かばないことだ。私はこのまま空しく死んでいくのだろうか。報われないままに。

Meaning

I don't think anyone would feel pity for my lost love, so I will have to die in vain.

鑑賞

詞書に、「愛し合っていた女が、しばらくして冷たくなり、そのうち逢ってもくれなくなったので詠んだ歌」とある。
相手の女に、せめて「あはれ」と言って欲しいと恋焦がれている。失恋の悲しみに嘆いている男の歌である。
謙徳公とは藤原伊尹(これまさ)の事、謙徳公というのは亡くなってからの諡(おくりな)である。
諡とは、高貴な人の死後の名前である。
伊尹は大貴族の家の出身で、「和歌所」の別当として、万葉集の編纂事業などを監督し、後には摂政となった。
歌人としても有名だった。