
由良の門を わたる舟人 かぢを絶へ
行くへも知らぬ 恋の道かな
Reading
Yuranoto wo Wataru funabito Kaji wo tae
Yukue mo shiranu Koi no michi kana
和歌の意味
由良の海峡を渡っていく舟人が、急な流れに梶を取られて、行へも分からないまま舟が海を漂っていくように、私の恋もこの先どうなっていくのだろうか?
Meaning
My love is wondering, not knowing where and how it is going, as well as a boatman sailing over Yura Strait is drifting about in the sea, having lost his rudder.
鑑賞
由良の戸をから、かぢを絶へまでが序詞(じょことば)、心のあり様を具体的なイメージで表している。
梶を取られた舟人が波間に漂い途方に暮れている様に、自分の恋も何か大きな力に翻弄されているような不安感に襲われている。
由良の門は、丹後の国、京都府宮津市の由良川の河口、水の流れが激しいところ。由良はまた歌枕(うたまくら)の一つ。
曽禰 好忠は、丹後の掾(じょう)だったので、曾丹と呼ばれていた。偏屈な人物だったと言われている。いろいろな逸話が残されている。