
八重葎 しげれる宿の さびしきに
人こそ見えね 秋は来にけり
Reading
Yaemugura Shigere ru yado no Sabishiki ni
Hito koso mie ne Aki wa ki ni keri
和歌の意味
つる性の雑草が幾重にも生い茂っている古い屋敷の跡は淋しく、訪れるは誰もいない。そんな所にも秋の気配は感じられる。秋という季節は忘れずにやって来るのだなあ。
Meaning
Only autumn has come as ever to this lonely house with weeds growing thickly, where anyone wouldn't come.
鑑賞
この屋敷は、14番の源徹が造った立派な邸宅だった。奥州の名所の塩釜を模して豪華な庭を作り、陸奥の風流を楽しんでいた。屋敷の土地は広大で、鴨川にまで及び、「河原院」と呼ばれた。しかし、融の死後は荒れ果てて、廃墟になった。
屋敷は後に寺になり、幽霊が出る等と噂になった。
「源氏物語」では夕顔の巻で、夕顔が物の怪に襲われた場所として描かれた。風雅を極めた屋敷が荒れ果てた姿は、一層寂しさを感じた事でしょう。
恵慶法師は、僧侶だが、優れた歌人でもあった。
三十六歌仙の一人でもある。多くの和歌が残っている。