
御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え
昼は消えつつ ものをこそ思へ
Reading
Mikakimori Eji no taku hi no Yoru wa moe
Hiru wa kie tsutsu Mono o koso omoe
和歌の意味
宮中の門を警護する衛士たちがたくかがり火は、夜は赤々と燃えているが、昼になると消えている。そのように私の恋心も夜になると燃え上がり、昼は消え入る様に沈み込んで、物思いにふけってしまうことだ。
Meaning
My love annoys me every day, burning at night and going out in the day like bonfires made by guards of gates in Court.
鑑賞
「御垣守」とは、宮中を警護する門番。衛士たちが、かがり火をたいて門を守っている。その明りは、暗い夜の闇の中に激しく燃えて、人の心を高ぶるものにしたのではないか。
「夜は燃え」「昼はきえつつ」が対句になり、印象的である。
衛士は諸国から交代で京へ集められた兵士。衛門府に属し、夜はかがり火を焚いて宮中の門を守った。
衛士にまつわる伝説は「更級日記」にも書かれている。
大中臣能宣は、代々神職の家で、伊勢大神宮の祭主であった。61番の伊勢大輔の祖父である。
「梨壺の五人」の一人で「後撰集」の撰集に当たった。