百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.050

藤原義孝

Fujiwara no Yoshitaka

藤原義孝

君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな

Reading

Kimi ga tame Oshikara zari shi Inochi sae
Nagaku mo gana to Omoi keru kana

和歌の意味

あなたの為ならば、命を捨てて惜しくはないと思っていたが、あなたとの恋がかなった今となったら、少しでも長く生きたい、あなたと逢っていたいと思うようになった事よ。

Meaning

I didn't afraid of giving my life to see you, but now I would like to live longer to see you.

鑑賞

これは後朝の歌である。逢瀬の願いが初めてかない、恋の喜びに満たされている若者の歌である。恋がかなった今では、この恋の為に少しでも長く生きたい、という心の変化が初々しく歌われている。
藤原義孝は、45番謙徳公・藤原伊尹(これまさ)の三男。藤原行成(能筆家)の父 義孝は藤原家の御曹司で、美男子で、和歌の才能も有り、人気があったらしい。
当時天然痘が広がり、「藤原家は、朝に兄が亡くなり、夕には弟が亡くなった。一日に二人の息子を亡くした母親の悲しみはいかばかりだったか」と「大鏡」に書かれている。