百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.052

藤原道信朝臣

Fujiwara no Michinobu Ason

藤原道信朝臣

明けぬれば 暮るるものとは 知りながら
なほ恨めしき 朝ぼらけかな

Reading

Ake nure ba Kururu mono to wa Shiri nagara
Nao urameshiki Asaborake kana

和歌の意味

夜が明けると、また日は暮れて、あなたにまた逢えると分かってはいるが、夜が明ければ帰らなければならないこの身。恨めしい夜明けだなあ。

Meaning

I know it goes dark and I can see you again, still, I can't help feeling sorry when the day breaks.

鑑賞

平安時代は男性が女性の家に通う結婚が一般的であった。そのため夜明けには、男性は自分の家に帰らなければならない、家に帰った後、男性から女性に手紙や和歌を送るという風習があった。これを後朝(きぬぎぬ)の歌という。この歌は後朝の歌のお手本ともいえる歌である。詞書に「雪の降る朝に詠んだ歌」とある。夜明け、雪の降る中を徒歩で帰ったのだ。
藤原道信は、貴公子で和歌も上手く、人柄も愛されたが、23才の若さで疫病の為に亡くなった。当時、疱瘡(天然痘)が流行し、貴族達も次々亡くなった時代である。