
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は
いかに久しき ものとかは知る
Reading
Nageki tsutsu Hitori nuru yo no Akuru ma wa
Ikani hisashiki Mono to ka wa shiru
和歌の意味
あなたが、いらっしゃらないことを嘆きながら、眠れぬ夜を一人で過ごしていましたよ。その夜の長さを、貴男はご存じですか?ご存じないのでしょうね。
Meaning
You don't know how long the night is when I sleep alone missing you until dawn, do you?
鑑賞
蜻蛉日記の作者である。夫は藤原兼家、摂政・関白として権勢をふるった。その夫がやってきたとき、門を開けずに、長く外で待たせた。やっと門を開けて兼家が入ってきた時、この歌を詠んだと詞書に書いてある。
『蜻蛉日記』は何人も妻のいる兼家との結婚生活の中で味わった苦しみや悲しみ、夫が他の女の家に行ったのではないかと嫉妬する気持ちが綿々と描かれている。兼家との間の息子の道綱を溺愛する。更級日記の作者は姪に当たる。
美人で和歌の才能が有り、中古三六歌仙の一人である。女流日記文学の道を拓いた。