百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.054

儀同三司母

Gidosanshi no haha

儀同三司母

忘れじの 行く末までは 難ければ
今日を限りの 命ともがな

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Wasure ji no Yukusue made wa Katakere ba
Kyo wo kagiri no Inochi to mo gana

和歌の意味

いつまでも忘れないよ、とおっしゃったそのお言葉が、将来ずっと続くという事は信じられないわ。それならば幸せの絶頂の今日、命が果ててもいいと思うわ。

Meaning

You told me you'd never forget me but it isdifficult for you not to change your mind foreverso I would rather die today when I'm happy.

鑑賞

儀同三司の母とは、高階貴子(たかしなのたかこ)のこと。美人で有名な才女であった。名門の中関白家の藤原道隆と結婚し幸せの絶頂に居た。その幸福感の中に、この幸せがいつまでも続くものではないという一瞬の不安が襲ってくる。
後に貴子は伊周(これちか)と定子の母となった。伊周は若くして高官となり、定子は一条天皇の中宮となり栄華を極めた。
しかし関白の座に上り詰めた道隆が疫病で亡くなった後、中関白家は衰退し、貴子は次々と不幸にみまわれる。
幸福の絶頂期に詠んだこの歌は、将来の貴子の運命を予言しているかのようだと言われている。