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めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に
雲がくれにし 夜半の月かな
Reading
Meguri-ai te Mi shi ya sore to mo Waka nu ma ni
Kumo-gakure ni shi Yowa no tsuki kana
和歌の意味
久しぶりに懐かしい友が逢いに来てくれた。その人かどうか確かめる暇もないうちに、その人は月が雲に隠れるように帰ってしまった。もっとゆっくりお話しをしたかったのに。
Meaning
I met you by chance but you hurried back before I don't make sure that you are my old friend, as well as the midnight moon I came across disappeared behind a cloud before I recognize it.
鑑賞
紫式部の歌である。『源氏物語』『紫式部日記』の作者ある。紫式部には女の友達がいた様である。その友が久しぶりに逢いに来てくれて、どんなに嬉しかったことだろう。
この友は遠くから歩いて逢いに来てくれたのだ。月明かりの中、お互いの顔も確かめる暇もなかった。この時代の女同士の友情を想像するだけで胸が熱くなる。
紫式部は『源氏物語』の中で、多くの登場人物の気持ちを和歌にして詠んでいる。その和歌は800首程あると言われている。紫式部の天才的な創造力と豊かな感性があふれ出ている『源氏物語』は日本人の大切な心の財産である。