
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに
あらはれ渡る 瀬々の網代木
Reading
Asaborake Uji no kawagiri Taedaeni
Araware wataru Seze no ajirogi
和歌の意味
夜が明ける頃、宇治川の水面に、川霧が立ち込め、その霧が途切れ途切れになって、網代木が表われては消える、また現れて消える網代木。
Meaning
The fog over Uji River is clearing brokenly at dawn and the stakes of bamboo nets for fishing in the shallows are appearing hear and there.
鑑賞
宇治の山を背景にして流れる宇治川、幻想的なこの地の風景は、平安時代の人々に愛され、貴族たちの別荘地であった。網代は、稚魚を捕るために川瀬に杭を打ち、竹などで編んだ物を設置した。網代木は杭。
冬の早朝は、宇治川の水面に立ち込めていた霧が次第に薄くなっていき、網代木が見えてくる。この光景は冬の風物詩であった。初瀬(長谷)詣でに行く道。
『源氏物語の宇治十帖』の雰囲気が出ている。
定頼は55番の藤原公任の子。
60番の小式部内侍をからかった人物。