
夕されば 門田の稲葉 おとづれて
芦のまろやに 秋風ぞ吹く
Reading
Yu sare ba Kadota no inaba Otozure te
Ashi no maroya ni Akikaze zo fuku
和歌の意味
夕方になると、屋敷の前にある田んぼの稲に秋風が吹き、そよそよと音を立てている。茅葺の屋敷にも涼やかな秋風が吹いているよ。
Meaning
When evening comes, an autumn cool breeze, rustling the rice plant leaves in the paddy fields in front of my residence, blows to my humble reed hut.
鑑賞
この歌は、秋の田舎の光景が目の前に広がり、稲が風に吹かれて動き、その音が聞こえてくる様である。風は少しひんやりとして、田舎の秋の淋しい光景をしみじみと描き出している。
この頃貴族たちは、自然豊かな田舎にあこがれ、別荘を持ち、田園での生活を楽しんだ。
源経信は、王朝後期の有名な歌人、漢詩文にも強く、管弦にも優れていた。藤原の公任と並び称された。
74番、源俊頼は息子。78番、源兼昌は孫、三代お歌が百人一首に取り上げられている。