
高砂の 尾の上の桜 咲きにけり
外山の霞 立たずもあらなむ
Reading
Takasago no Onoe no sakura Saki ni keri
Toyama no kasumi Tata zu mo aranamu
和歌の意味
はるか遠くの山の頂に、桜の花が咲いたようだ。人里近い山の霞よ、立たないでおくれ。山の桜が見えなくならないように。
Meaning
The cherry blossoms have got in bloom at the top of distant high mountains. Mist over mountains near villages, please don't lay over them.
鑑賞
「高砂」は播磨の国(兵庫県)の歌枕ではあるが、高い山を指す。「尾の上」は山の頂き、「外山」は人里に近い低い山。「霞」は春の象徴。
遠くに望む山の上に咲く桜の花を、いつまでも眺めていたいという思いを格調高く歌っている。
権中納言匡房は、大江匡房で大江匡衡(まさひら)と赤染衛門の曽孫である。大江家は、代々学者の家系である。
匡房は秀才で、漢学者や詩人として有名であった。後冷泉天皇から堀河天皇まで四代の天皇に仕え、兵学にも長け、出世して中納言にまでなった。