
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ
はげしかれとは 祈らぬものを
Reading
Ukari keru Hito wo Hatsuse no Yama oroshi yo
Hageshikare to wa Inora nu monowo
和歌の意味
私につれないあの人を、私になびかせてほしいと、初瀬の観音様にお祈りは致しましたが、初瀬の山嵐よ。こんなに激しく吹いてくれとはお祈りしなかったですよ。
Meaning
A fierce wind blowing down from the mountainsin Hatsuse, I prayed (at Hase Temple) that the lady who are not interested in me would turn to me, not that my bitterness would get heavier.
鑑賞
詞書によれば「祈れども逢はざる恋」という題詠歌である。
初瀬とは奈良の山深い所で、長谷寺がある。霊験あらたかなこの寺は、昔から大勢の人がお参りに集まった。観音信仰で有名である。相手の冷たい態度が、観音様に祈っても通じないで、更に激しくなっている。私の思いはますます募ってくるよ。
『源氏物語』では夕顔の段に出てくる。
更級日記にも作者が長谷寺詣でをしたことが書かれている。
源俊頼は、71番大納言経信の三男である。
平安王朝の歌壇の指導者であり、歌合わせの判者を務めた。
次の世代の藤原俊成などに影響を与えた。