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ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば
ただ有明の 月ぞ残れる
Reading
Hototogisu Naki tsuru kata wo Nagamure ba
Tada ariake no Tsuki zo nokore ru
和歌の意味
ほととぎすが鳴いた方を見上げると、ほととぎすの姿は見えず、ただ有明の月が、残っているだけである。
Meaning
Looking at the note of a little cuckoo, I could see merely the morning moon left in the sky.
鑑賞
「ほととぎす」は、夏の訪れを告げる鳥。
季節の変化に敏感な王朝の人達は、鳥の鳴き声や草花の香りや風の流れの変化に心を動かした。
ほととぎすは初夏の代表的な鳥として、歌に良く詠まれた。「有明の月」は夜明けの月。
後徳大寺左大臣とは藤原実定のこと。
この頃は保元・平治の乱が起こり、平氏が台頭し、平清盛が権勢をふるっていた。貴族たちは誇りはあったが、平安ではなかった。
実定は、藤原定家のいとこである。
中古三十六歌仙の一人である。