百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.084

藤原清輔朝臣

Fujiwara no Kiyosuke Ason

藤原清輔朝臣

ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しとみし世ぞ 今は恋しき

Reading

Nagarae ba Mata ko no goro ya Shinoba re mu
Ushi to mi shi yo zo Ima wa koishiki

和歌の意味

この先もっと生きながらえていたならば、この頃の事を懐かしく思い出すのだろか。辛いことが多かったあの時代の事も今では懐かしいと思うのだから。

Meaning

I'm wondering whether I could look back on these bitter days with nostalgia if I live long, as well as I miss now the past time when I had much grief.

鑑賞

この歌は共感する人が多い。今辛いと思っている事も、将来振り返ってみると懐かしいと思うかもしれない。と自分を慰めている。なぜなら昔辛かったあの時代も今思い出せば懐かしい。だからもう少し頑張って生きていこうと思い直しているのだ。
実際清輔は不運であった。父親の顕輔が六条家歌学を打ち立てたが、藤原俊成の「御子左家(みこひだりけ)と対立し苦境に追いやられた。また父親と不和で、悩みがあった。その上「保元・平治の時代」で、貴族達には様々な苦労があった。だからこそ実感がこもった歌で、今の人達にも共感を呼ぶのである。