
夜もすがら もの思ふころは 明けやらで
閨のひまさへ つれなかりけり
Reading
Yomosugara Mono omou koro wa Ake yara de
Neya no hima sae Tsurenakari keri
和歌の意味
一晩中、物思いにふけっているこの頃は、夜はなかなか明けないものよ。寝間の戸のすき間までもつれなくて、いつまでたっても光もさしてこないのよ。
Meaning
When I'm lost in thought all the night holding a grudge against my sweet heart, it takes longer for the day to break and even the opening of the door in my bed room looks heartless to me.
鑑賞
俊恵法誌が、恋に悩む女性の立場に立って詠んだ歌。この時代男性歌人が女性の立場に立って詠んだ歌も多くあった。
この場合もの思ふはつれない人を思うという意味。幾晩も物思いをしている女にとっては夜は長い。
不安はますます募ってくる。
俊恵法師は、74番源俊頼の息子。東大寺の僧侶。
後に自宅の歌林苑でか甲斐を催したリ歌の指導をした。鴨長明の和歌の師である。
歌集「林葉和歌集」を残した。