
村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
Reading
Murasame no Tsuyu mo mada i nu Maki no ha ni
Kiri tachi noboru Aki no yugure
和歌の意味
村雨が通り過ぎたあとの露が、まだ乾かないままの真木の葉に、霧がほの白く湧き上がっている静かな秋の夕暮れであるよ。
Meaning
I felt it plaintive to see mist rising over the maki leaves where the dewdrops by the shower have not dried yet at dusk in autumn.
鑑賞
村雨は、にわか雨。特に秋から冬にかけて、激しく降る雨のこと。「真木」は杉やヒノキの総称。
深い山の中、急ににわか雨が降り、すぐに止んだあとに、山全体に霧が立ち登ってきて、幻想的な静かな風景が浮かび上がってくる。
全ての語が「秋の夕暮れ」に係り、印象深い結句になっている。
百人一首カルタをする時、この札は「むすめふさほせ」の中の1枚札として、愛されている。
寂連法師は藤原定家のいとこ。30才過ぎに出家した。「新古今和歌集」の撰者。完成前に没した。