百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.090

殷富門院大輔

Inpumonin no Taifu

殷富門院大輔

見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
濡れにぞぬれし 色はかわらず

Reading

Mise baya na Ojima no ama no Sode dani mo
Nure ni zo nure shi Iro wa kawara zu

和歌の意味

お見せしたいわ 私のこの袖を。陸奥の雄島の漁師の袖も、海の波に濡れてしまう事でしょうが、私の袖は、涙で濡れるだけではなく、血の涙で袖の色は変わってしまったわ。

Meaning

I want to show you my sleeves which have turned red with tears, even the fisher men's sleeves in Ojima get wet and wet but never turn red, though.

鑑賞

「見せ場やな」という強い口調で言いだしている。
これは本歌取りの歌である。本歌は「松島や 雄島の磯に あさりせし あまの袖こそ かくはぬれしか」である。
松島の両氏の袖は涙にぬれたが私の袖は更に血の涙で濡れたと言っている。深い悲しみの涙を「血涙」という。本歌に対し返歌という。
雄島は松島にある歌枕。
殷富門院大輔とは殷富門院に仕えた女房である。