百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.091

後京極摂政前太政大臣

Go Kyogoku Sessyo Saki no Daijodaijin

後京極摂政前太政大臣

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき 独りかも寝む

Reading

Kirigirisu Naku ya shimoyo no Samushiro ni
Koromo katashiki Hitori ka mo ne mu

和歌の意味

きりぎりすが鳴いている霜が降りる寒い夜。粗末なむしろの上に自分の着物の片袖を敷いて、ひとり淋しく寝るのだろうか。

Meaning

How lonely I am to sleep clothed alone with my head on my own arm, on a cold straw mat on such a frosted night, when grasshoppers are chirping.

鑑賞

この歌は3番の柿本人麻呂の歌
「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」
の本歌取りである。本歌をふまえて詠むと一層、この歌の趣きが増す。
愛する人と逢えぬ淋しさ、秋の夜の孤独な一人寝の淋しさが、更に味わい深い歌になっている。
「キリギリス」は今のコオロギのこと。
この長い名前の作者は、藤原良経のこと。関白太政大臣藤原兼実の息子。若くして太政大臣になった。
藤原俊成に和歌を学んだ。「新古今集」の撰者。