百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.096

入道前太政大臣

Nyudo Saki no Daijodaijin

入道前太政大臣

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで
ふりゆくものは わが身なりけり

Reading

Hana sasou Arashi no niwa no Yuki nara de
Furi-yuku mono wa Wa ga mi nari keri

和歌の意味

嵐が、花を誘って、吹き散らしている。庭は一面雪が降ったように花びらが降り積もっている。降りゆく(古くなっていく)のは花ではなく、わが身なのだ。

Meaning

It is myself, not the cherry blossoms falling like snowing in the garden where the wild wind is scattering them, that is getting older.

鑑賞

詞書には「落花をよみはべりぬ」とある。
落花を雪に「見立て」た。
「嵐の庭」花が散って一面が雪の様だと美しい表現。
また「降りゆく」は花が雪の様に降りゆくとわが身が「古りゆく」〔年老いていく〕の掛詞。
様々な技巧が使われている。
前太政大臣とは藤原公経(きんつね)のこと。
鎌倉の動乱の時代の貴族。承久の乱では鎌倉側についた。その後栄進し、太政大臣になった。
藤原定家の義弟である。彼を通じて、定家は源実朝の和歌の師となった。