百人一首の解説

The meaning of Hyakuninishu waka poems

No.097

権中納言定家

Gon Chunagon Sadaie

権中納言定家

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに
焼くや藻塩の 身もこがれつつ

Reading

Konu hito wo Matsuho no ura no Yunagi ni
Yaku ya moshio no Mi mo kogare tsutsu

和歌の意味

待ってもまっても来ない人を待ち続けている私。まるで松帆の浦で藻塩を焼いているように、私の身もじりじりと恋に焦がれるばかりでございますよ。

Meaning

I'm waiting for my dear but she wouldn't come. Oh, I can't stay any longer! I love her so ardently that I feel as if I were the seaweed burned for salt in the calm evening at Matsuho Beach.

鑑賞

歌合せの題詠である。
男の作者が女の身になって、訪ねてこない恋人を待ち焦がれている気持ちを詠んだ歌。
この歌は『万葉集』の長歌の本歌取りである。掛詞、序詞、縁語など様々な技巧を使っている。「新古今風」の代表的な歌である。松帆の浦は淡路島の最北端。
藤原定家はこの百人一首を編纂した人物である。
定家は「新古今和歌集」「新勅撰和歌集」の撰者で、歌道の地位を確立した中心的な人物であった。また「源氏物語」を書写し、注釈をして、散逸を防ぎ、世の中に広め、後世に残した。日記『明月記』も残した。