
来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに
焼くや藻塩の 身もこがれつつ
Reading
Konu hito wo Matsuho no ura no Yunagi ni
Yaku ya moshio no Mi mo kogare tsutsu
和歌の意味
待ってもまっても来ない人を待ち続けている私。まるで松帆の浦で藻塩を焼いているように、私の身もじりじりと恋に焦がれるばかりでございますよ。
Meaning
I'm waiting for my dear but she wouldn't come. Oh, I can't stay any longer! I love her so ardently that I feel as if I were the seaweed burned for salt in the calm evening at Matsuho Beach.
鑑賞
歌合せの題詠である。
男の作者が女の身になって、訪ねてこない恋人を待ち焦がれている気持ちを詠んだ歌。
この歌は『万葉集』の長歌の本歌取りである。掛詞、序詞、縁語など様々な技巧を使っている。「新古今風」の代表的な歌である。松帆の浦は淡路島の最北端。
藤原定家はこの百人一首を編纂した人物である。
定家は「新古今和歌集」「新勅撰和歌集」の撰者で、歌道の地位を確立した中心的な人物であった。また「源氏物語」を書写し、注釈をして、散逸を防ぎ、世の中に広め、後世に残した。日記『明月記』も残した。